メインコンテンツへ

ISO 9001(品質マネジメントシステム)とは?概要やメリットを解説

コラム

掲載日:2024/07/02

ISO 9001(品質マネジメントシステム)とは、顧客満足向上と一貫した製品・サービスの提供を目的としたプロセス構築・管理基準を示す国際規格です。ISO 9001(品質マネジメントシステム)は、製造業や建設業をはじめとしたさまざまな業界・業種の組織が認証を取得しています。

この記事では、社内の品質改善体制を強化したいと考えている人に向けて、ISO 9001(品質マネジメントシステム)の概要を解説します。取得の流れも解説するため、ぜひ参考にしてください。

ISO 9001(品質マネジメントシステム)とは

はじめにISO 9001(品質マネジメントシステム)を把握するために、下記3点について解説します。

● ISO 9001の概要と定義
● ISO 9001の歴史と目的
● ISO 9001の規格要求事項とは

ISO 9001の概要と定義

ISOはスイスに本部を構える非政府機関であるInternational Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称です。ISOは国際的な規格制定を目的としており、同機関によって制定された規格をISO規格と呼びます。

ISO 9001(品質マネジメントシステム)は「品質マネジメントシステム」に関する規格のひとつです。具体的には、品質が高い製品・サービスを提供することにより、顧客満足向上を実現するためのプロセスを構築・管理しているかが問われる規格です。

ISO 9001の歴史と目的

ISO 9001(品質マネジメントシステム)は、20世紀初頭に米国で起こった自動車産業の台頭をきっかけに誕生しました。

そこから間もなくして発生した世界大戦などを経て、物資を大量かつ効率的に生産する重要性が認識されはじめます。製品の不良率低下・コスト削減を目的とした「品質管理」や「品質保証」という考え方が民間企業で普及しはじめた頃、英国が国家規格の制度を整備したのです。その後、1987年にISOが英国の国家規格をベースとして、国際規格であるISO 9001(品質マネジメントシステム)を制定しました。

2021年末時点でISO 9001(品質マネジメントシステム)は世界189カ国に普及し、認証数は107万に到達しています。

ISO 9001の規格要求事項とは

規格要求事項とは、企業が実現すべき基本的な要件です。ISO 9001(品質マネジメントシステム)の規格要求事項は、10の要素で構成されています。具体的には次のとおりです。

1. 適用範囲
2. 引用規格
3. 用語および定義
4. 組織の状況
5. リーダーシップ
6. 計画
7. 支援
8. 運用
9. パフォーマンス評価
10. 改善

ISO 9001(品質マネジメントシステム)では、これらの要素についてPDCAサイクルを回しながら、継続的改善を進めることが求められています。

ISO 9001を取得するメリット

ISO 9001(品質マネジメントシステム)にはさまざまなメリットがあります。ここでは、ISO 9001(品質マネジメントシステム)のメリットとして下記3つを解説します。

● 顧客満足度や社会的信頼が向上する
● 持続的な品質向上を実現できる
● 自社では気付かない問題点を外部視点から発見できる

顧客満足度や社会的信頼が向上する

ISO 9001(品質マネジメントシステム)を取得すると、自社製品・サービスが一定の品質や安全性を保有している証明になるため、顧客満足度や社会的信頼が向上します。

ISO 9001(品質マネジメントシステム)の認定を受けるためには第三者機関の審査が必要です。同規格に認定されれば「安心して利用できる製品・サービス」といえるため、顧客満足度の向上につながるでしょう。

また、自社の業務について社内外への説明責任を果たせるため、社会的信頼の向上も期待できます。

持続的な品質向上を実現できる

ISO 9001(品質マネジメントシステム)の認定を維持するためには、定期的に審査を受ける必要があります。継続的に審査に取り組むことで、持続的な品質向上が実現可能です。

また、一見業務手順は変化していないようにみえても、時間の経過とともに品質低下の要因は発生していきます。例えば、従業員の自己判断による業務プロセスの変更をはじめ、従業員の退職および配置転換などは品質低下を招くトリガーになります。

継続的に審査に取り組むことによって、このようなケースに対しても、品質低下防止や持続的な品質向上に対する意識付けなどの効果を期待できるでしょう。

自社では気付かない問題点を外部視点から発見できる

ISO 9001(品質マネジメントシステム)の取得により、内部だけではなく第三者視点から問題を発見できます。

なかにはISO 9001(品質マネジメントシステム)を取得せずとも、自社で正しく組織をマネジメントすれば問題ないと考えている人もいるかもしれません。しかし、自社で働く人の視点だけでは問題を検出できないリスクがあります。外部からみれば明らかな問題点であっても自社内では当然の業務になっている可能性があるからです。また、部署のパワーバランスや人間関係のしがらみで問題点を指摘できないケースもあるでしょう。

ISO 9001(品質マネジメントシステム)は外部審査機関による審査が必須であるため、自社では気付かない問題についても公正な視点による監視および是正が可能となります。

ISO 9001認証取得・維持の流れ

ここからは、ISO 9001(品質マネジメントシステム)の認証取得・維持の流れを、下記のステップにまとめて解説します。

1. マネジメントシステムの構築
2. マネジメントシステムの運用
3. 取得審査
4. 認証維持審査

1.マネジメントシステムの構築

ISO 9001(品質マネジメントシステム)の認証を取得するために、経営層はマネジメントシステムの構築・運営をはじめ、従業員全員が取得および運用に積極的に参加する状況を作り出すことが求められます。

これを実現するためには、自社の方針や目標を明示し、事業体制の変革を推進することが重要です。

2.マネジメントシステムの運用

マネジメントシステムの構築が完了した後は、運用を開始します。運用を継続することで、構築時には洗い出せなかった課題や問題点を検出可能です。

運用時は運用記録の取得や従業員への協力依頼をはじめ、周知を徹底する必要があります。また、内部監査やマネジメントレビューを行い、定期的にマネジメントシステムの見直しを行いましょう。

3.取得審査

マネジメントシステムの運用後は、取得審査に取り組みます。社内準備が完了したら、ISO審査機関と契約を行いましょう。審査は文書審査(一次審査)と実地審査(二次審査)の2つに分かれます。

文書審査にて受けた指摘事項を改善した上で、実地審査に臨むことが重要です。もちろん、実地審査の指摘事項も、後日改善報告を提出する必要があるため忘れないように注意しましょう。

すべての審査をクリアした後に審査登録を行うと、ISO 9001(品質マネジメントシステム)の認証を取得できます。

4.認証維持審査

ISO 9001(品質マネジメントシステム)の認証を維持し続けるためには、認証維持審査をクリアしましょう。認証を維持するためには、維持審査および更新審査を定期的に受けることが重要です。

維持審査はサーベイランス審査とも呼ばれ、年1〜2回程度行われます。この審査は、マネジメントシステムの50〜60%が対象です。更新審査は3年に1回行われます。維持審査とは異なり、マネジメントシステム全体が規格に適合しているかを審査します。

その他のISO規格

ISO規格は、ISO 9001(品質マネジメントシステム)以外にもさまざまなものが存在します。その他の主なISO規格は次のとおりです。

ISOの種類概要
ISO 14001(環境マネジメントシステム)社会経済的ニーズとバランスをとりながら、環境を保護し、変化する環境状態に対応するための組織における枠組みを示している。
ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)情報の機密性・完全性・可用性の3つをバランスよくマネジメントし、情報を有効活用するための組織における枠組みを示している。
ISO/IEC 27701(プライバシー情報マネジメントシステム)ISO/IEC 27001の拡張規格であり、プライバシーを保護するための要求事項とガイドラインを規定している。

なお、ISO 27001については以下の記事で詳細に解説しています。あわせてご覧ください。

関連記事:ISO27001(ISMS 認証)とは?多くの企業が取得している理由や申請の流れを解説

まとめ:品質改善の仕組みを整えてISO 9001(品質マネジメントシステム)を取得しよう

本記事では、ISO 9001(品質マネジメントシステム)の概要やメリットに加えて、認証取得・維持の流れについて解説しました。

ISO 9001(品質マネジメントシステム)の認証取得には、顧客満足度や社会的信頼の向上をはじめ、持続的な品質向上などさまざまなメリットがあります。ただし、認証を受けるためには第三者機関による厳格かつ定期的な審査をクリアする必要がある点には注意しましょう。

SBテクノロジー株式会社は、ISO 9001(品質マネジメントシステム)の認証を取得しています。「自社の製品やサービスに対して、品質改善の仕組みが整った企業で働きたい」と考えている人は、ぜひ当社の中途採用サイトからエントリーをご検討ください。

募集職種一覧