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DMPとは?マーケティングに役立つメリットや導入事例について解説

コラム

掲載日:2024/05/07

DMPはWebマーケティング施策立案に欠かせないツールの一つです。名前は耳にしたことがあっても、具体的にどのようなものか知らないという方も多いのではないでしょうか。本記事ではDMPの主な機能や導入のメリット、導入事例について詳しく解説します。DMPの導入検討やエンジニアとしてマーケティング分野での活躍を目指すヒントとしてぜひご参照ください。

DMPとは

DMP(Data Management Platform)とは、インターネット上に蓄積されたデータを収集・管理するといった、マーケティングに活用するためのツールです。

DMPには、自社で取得したデータを活用するDMPと、外部データを扱うDMPがあり、どちらか一方または両方のデータを組み合わせることで効果的な分析が可能です。集めたデータを利用すれば、ユーザーの動向やニーズを高い解像度で把握できるようになるため、各ユーザーに合わせたOne to One マーケティングが行えます。

なお、One to One マーケティングとは、各ユーザーの興味関心に合わせてマーケティング施策を行う手法です。全てのユーザーに対して画一的なアプローチを行うのではなく、ユーザーごとにマーケティング施策を行うため、コンバージョン率の向上に役立ちます。DMPによって個別にマーケティング施策が取れるため、新規顧客・見込み顧客の開拓や既存顧客の売上アップにつなげられます。

DMPの主な機能

DMPの主な機能は、データの収集・管理とデータ分析、マーケティングへのデータ活用の3つです。データの収集・管理とは、インターネット上のさまざまなデータを収集・管理する機能です。外部データ(自社で収集していないデータ)、例えばクレジットカードの取引データやGPSでの位置情報の蓄積や、自社のWebサイトやPOSシステム、CRMなどから顧客情報や購買履歴、問い合わせ・資料請求履歴、Webサイトへのアクセス解析データなどを集めます。

データ分析とは、集めたデータを基にユーザー分析や広告効果の分析を行う機能です。ユーザーのデータから行動パターンや購買履歴からセグメント分析を行い、ユーザー理解を深めます。

マーケティングへのデータ活用とは、分析によって得られた知見を基にマーケティング施策に活用する機能です。ユーザーごとに興味を持ちそうなレコメンドや広告・メルマガの配信を行います。

DWH・MAとの違い

DMPと同様にデータ管理を行うツールとして話題に上るDWH(Data Ware House)とMA(Marketing Automation)との違いを解説します。

DWHは、POSやCRMなど自社内のシステムからデータを抽出し、分析を前提として保存するツールです。データを時系列で保管し、保管したデータの更新・削除がされないのが特徴です。ただし、DWH単独では本格的なデータ分析が行えないため、専用の分析ツールと連携する必要があります。

MAは、メルマガの配信など主にマーケティング施策の仕組み化・自動化に使われるツールです。セグメントされたユーザーに対してコンテンツの自動配信を行い、その結果の管理・可視化を行います。DMPがターゲティングに活用されることに対して、MAはマーケティング施策の実行部分に用いられます。

DMPの種類

DMPにはパブリックDMP(オープンDMP)と、プライベートDMPの2種類があります。両者には外部データを扱うか、自社データを扱うかといった違いがありますが、両者を組み合わせることでより効果的なマーケティング施策が行えます。本章では、2種類のDMPについて順番に見ていきましょう。

パブリックDMP(オープンDMP)

パブリックDMPは、自社では集められない第三者が所有する外部データ(3rd partyデータ)を扱うDMPです。地方自治体や国が公表している国勢調査などのデータや、民間企業や調査会社が保有する統計データ、SNS・Webサイトのデータなどが挙げられます。

自社サイトを持っていないなど、データ収集の手法が少ない場合や、自社のデータだけでは新規顧客の獲得が難しい場合などに活用されます。幅広いユーザーの情報を集められるメリットがある一方で、費用が発生するものもあるため、自社に必要なデータをしっかりと見極めなければなりません。

プライベートDMP

プライベートDMPは、自社がWebサイトや調査によって収集したデータ(1st partyデータ)を扱うDMPです。顧客データを扱うことからCDP(Customer Data Platform)とも呼ばれます。

プライベートDMPでは、購買履歴やユーザーの個人情報、行動履歴やサイトのアクセスログなど自社と顧客のさまざまな接点で収集されるデータを一元管理します。

DMPを導入していない企業では、これらの情報を各部署でばらばらに管理していることが多いです。これらの情報を統合・連携して多角的にユーザー理解を深めることで、ユーザーに最適化されたマーケティング施策の立案が可能になります。

DMPのメリット

次にDMPを活用するメリットを3つ紹介します。
  ● データの一元管理と効率的な分析ができる
  ● 見込み顧客・新規顧客へのアプローチができる
  ● 自社のターゲット層を明確にできる
それぞれ順番に解説します。

データの一元管理と効率的な分析ができる

DMPを導入すれば、自社が保有する膨大なデータの一元管理と効果的なデータ分析が可能です。プライベートDMPでは、これまで各部署において断片的に保有していたデータを一ヶ所に集約して管理できるため、それぞれのデータを複合的に分析することで新たな知見が得られます。

パブリックDMPでは、SNSのデータや消費者全体の情報などのビッグデータを基に、広い視点からデータ分析が行えます。また、両者を組み合わせればユーザー理解につながる新たなパターンを見つけることも可能です。

見込み顧客・新規顧客へのアプローチができる

DMPによって、見込み顧客や新規顧客への効率的なアプローチが可能です。プライベートDMPを利用して、自社サイトに訪れたユーザーがどのページやコンテンツに長く滞在していたかなどを分析し、LPやコンテンツ制作に活かすことができます。

また、プライベートDMPとパブリックDMPを組み合わせれば自社サイトを訪れたユーザーが他に閲覧しているサイトや、ECサイトで購入している商品を把握できます。

自社サイトを訪れたユーザーのニーズがわかれば、新たに取り扱うべき商品や掲載すべき情報を理解することが可能です。これによって、顧客単価アップに向けた戦略立案や新たな顧客セグメントの発見といった効率的なマーケティング施策のための分析ができます。

自社のターゲット層を明確にできる

自社のターゲット層をDMPを用いた分析によって、さらに明確にできます。プライベートDMPで自社が持つ購買履歴や問い合わせ情報などを一元管理すれば、各部署で情報を断片的に有していたときよりも、ユーザーに対する深い理解が可能です。

ここにパブリックDMPのデータを組み合わせれば、さらに具体的に自社のターゲット層がどのような属性・行動パターンを持っているのか人物像が明確になります。これによって、ターゲット層に対して効果の高いレコメンドや広告によるアプローチが行えます。

DMP導入に向けたハードル

次にDMPを導入するうえでのハードルとなるポイントを3つ紹介します。
  ● データ整備を行う必要がある
  ● 情報管理を徹底する必要がある
  ● 設備・人材面でのコストがかかる
それぞれ順番に解説します。

データ整備を行う必要がある

プライベートDMPは自社データを一元管理できる便利なツールですが、どの部署がどのようなデータを管理しているか把握し、各データを整備することが求められます。データがどこにどのような形式で保管されているのか、DMPを扱う部署がデータへのアクセス権限を有しているのかといった多くの事前確認・準備が必要です。

特にコールセンターへの問い合わせ履歴や紙媒体で収集されたアンケートなどは、DMPが扱える形式に整備する手間もかかります。DMPを導入する際には自社の顧客接点を洗い出し、各接点が持つデータと保管場所の特定、データ形式の整備といった作業に対するリソースを割けるかどうかよく検討しましょう。

情報管理を徹底する必要がある

DMPは膨大な情報を一元管理するため、情報流出が起きないようセキュリティ対策の徹底が必要です。そのため、データの管理者とアクセス権限の設定や担当者レベルでの個人情報保護法の理解といった運用が求められます。

また、セキュリティが強固な場所にデータを保管し、自社においてプライバシーポリシーやセキュリティポリシーを策定するといった取り組みを行う必要があります。DMPの導入によって、情報流出リスクに備える必要があり、それを防ぐためにさまざまな取り組みが求められることを踏まえておくようにしましょう。

設備・人材面でのコストがかかる

DMPの利用料や運用にかかる人材面でのコストも導入するうえでのハードルとなります。膨大なデータを扱うDMPを運用するには、人員も必要なうえに一定のマーケティング知識やITリテラシーが求められます。専門知識を持った人材の確保や育成には、一定の時間やコストが必要です。

また、DMPは導入するだけでなく、分析を行いマーケティング施策に反映することで効果が生まれます。そのため、ツールの利用料をすぐに回収できるわけではありません。分析結果を上手に活用できなければ、費用対効果が低くなる可能性もあります。このようなコスト面にも目を向けてDMPを導入するようにしましょう。

DMPの導入事例

最後にDMPを実際に導入し、マーケティング施策に活用した企業の事例を2つ紹介します。DMPをどのように売上アップやマーケティング施策に取り入れているのか、ぜひ参考にしてみてください。

大手レジャーサイト

大手レジャーサイトでは、自社サイトを訪れたユーザーの行動把握が不十分なため、プライベートDMPを導入し、コミュニケーション施策の改善に活用しました。

自社サイトの閲覧履歴やユーザーの登録データ、予約実績を集約して、ユーザーごとにパーソナライズされたレコメンド機能の実装やLPの最適化を図ります。たとえば、レジャーの予約ページを開いているユーザーに対して、消耗品のクーポンを配信して売上アップを狙うなどの施策です。

また、リターゲティング広告についても、自社サイト外においてもユーザーに対してパーソナライズされた広告配信を行うよう改善をしました。これによって、同サイトは従来よりコンバージョン率が約8倍にアップしました。

大手化粧品メーカー

大手化粧品メーカーでは、プライベートDMPとパブリックDMPを組み合わせて活用し、自社が保有するデータと消費者のデータを重ね合わせて分析し、適切な広告配信を行いました。プライベートDMPを用いて同社が展開する複数ブランドのデータを一元管理し、パブリックDMPと連携することで、ユーザーの日常的な行動を把握。これによって、ターゲット層が好むテレビ番組を分析し、マス広告の最適化を実現しました。

また、同社が扱う各ブランドのデータは個別に管理されていたため、プライベートDMPで一元管理を行ったことにより、ブランドを跨いだ広告施策も可能となりました。たとえば、Aブランドのユーザーに対して、Aブランドと親和性のあるBブランドの広告を配信するといった施策です。

このようにDMPは、ユーザーへの深い理解と、個別に行われてきたマーケティング施策を一元化して、既存顧客の売上アップを目指す取り組みに用いられています。

まとめ│DMPを活用して効果的なマーケティング施策に取り組もう

今回は、Webマーケティングに用いられるDMPの機能やメリット、活用事例について解説しました。DMPはユーザーに対して効果的なアプローチを行うためにさまざまな企業で導入されています。自社の効果的なマーケティング施策にエンジニアが貢献できる方法としてDMPの実装を考えてみてはいかがでしょうか。

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