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構造化データと非構造化データの違いは?長所や注意点についても解説!

コラム

掲載日:2024/04/16

企業のDX推進が求められる中、データ活用もますます重要となってくると考えられます。その中で扱われるデータには構造化データもあれば、非構造化データもあるでしょう。本記事では、構造化データと非構造化データの違いや、それぞれの長所や注意点について解説します。

構造化データとは

構造化データとは、ExcelやCSVなど行や列の構造を持つ整形されたデータを指します。データ蓄積(書き込み)時にデータベース構造(スキーマ)が決まっていることから、スキーマオンライトと呼ばれます。行や列で整えられているため、人間が検索や集計を行いやすく、定量的なデータであるためコンピューターにとっても分析が行いやすいです。たとえば、POSデータや顧客データなどが構造化データに該当します。

構造化データはリレーショナルデータベース(RDB)の形式でデータウェアハウスに格納されます。事前にデータの目的に沿って整形されるため用途は限られますが、利便性は高くビジネスにおいて分析対象のデータとして活用されることが多いです。

関連記事:『RDB』(リレーショナルデータベース)とは?NoSQLとの違いも解説

非構造化データとの違い

非構造化データとは、構造が定義されておらず発生時のまま保持されるデータを指します。データ使用時に必要に応じて整形されるためスキーマオンリードと呼ばれることもあります。非構造化データの例は、動画・音声・画像データやSNS・ブログに投稿されたテキストデータなどです。

非構造化データはNoSQL(RDB以外のデータベースの総称)への保存が適しています。データが整形されていないため、目的に応じて柔軟に使用できるのが特徴です。その反面、定性的なデータであるため、そのままでは分析が難しく活用には高度な技術が求められます。

関連記事:『NoSQL』とは?利用するメリットや採用すべきポイント、活用事例をわかりやすく解説

半構造化データとは

構造化データと非構造化データの間に位置づけられるのが半構造化データです。分類としては非構造化データに属し、完全に構造化されたデータモデルは持ちませんが、タグなどの分析可能なメタデータを保有しています。例として、XMLやJSONなどが半構造化データに該当します。非構造化データよりも検索や分析が行いやすく、構造化データへの変換もしやすいのが特徴です。

構造化データの長所

構造化データにはどのような長所があるのか、扱ううえでのメリットにも触れながら解説します。
  ● ユーザビリティが高い
  ● 機械学習に活用しやすい
  ● 利用できるツールが多い
それぞれ順番に解説します。

ユーザビリティが高い

構造化データはデータ分析の専門家でなくても、扱いやすくビジネスの場で広く活用されています。表形式に整形されているため、扱うデータに関する知識があれば直感的にデータのパターンを理解して簡単に利用可能です。

Excelやスプレッドシートなどのツールを、ビジネスユーザーが一般的に利用していることも構造化データに馴染みやすい要因といえるでしょう。データの分析や検索、更新・修正も行いやすいため、企業では顧客や販売に関する情報などを構造化データとして管理しています。

機械学習に活用しやすい

機械学習に活用しやすい点も構造化データの特徴です。行や列といった形式が整えられているため、モデルがデータのパターンを理解しやすく、データ操作やクエリの実行が容易に行えます。これは構造化データとSQL言語の親和性が高いことも要因の一つです。SQL言語によって構造化データは前処理や整合性の維持、特徴量の抽出がされるため、機械学習プロセスを補完しています。

利用にあたって、企業では構造化データとして管理している顧客や販売情報をAIに学習させ、顧客の購買行動予測や需要予測に活用しています。

利用できるツールが多い

構造化データは多くの企業で一般的に利用されていることから、分析などに利用できるツールが多いです。構造化データがすでに整形されていて、分析や更新などの操作が行いやすいことにも起因しています。利用できるツールが多いと、自社の保有するデータの内容や活用目的に合わせた機能を搭載したツールを細かく選定できるます。

構造化データの注意点

構造化データは扱いやすく多くの企業が活用していますが、長所だけではありません。本章では構造化データが持つ注意点について解説します。
  ● 用途が限定的である
  ● 非構造化データに比べて量が限られる
それぞれ順番に見ていきましょう。

用途が限定的である

構造化データは事前に用途に沿った整形を行うため、用途外への利用に適していません。これは事前に形が整えられていることによって得られるメリットの反対の側面として挙げられます。非構造化データのように整形されていないデータの方が、さまざまな角度から分析などの活用が可能です。

また、構造化データの用途を変更しようとすると、多くのリソースを必要とする場合があります。既存のデータを新しい要件に合わせるための処理やデータベース設計からの変更が必要となる場合があり、柔軟な対応が難しいのが注意点です。

非構造化データに比べて量が限られる

企業において分析が進んでいるビッグデータは、構造化データと非構造化データ、半構造化データなどで構成されています。総務省の「平成25年度版情報通信白書」では、メディアの多様化やSNSの普及によって急増する非構造化データを分析することの重要性に言及されています。また、企業が生成するデータの8割は非構造化データであるというのが通説です。

このことから、ビッグデータの分析においては、構造化データだけでなく膨大な非構造化データの分析にも目を向ける必要があるでしょう。

非構造化データの長所

構造化データよりはるかに膨大な非構造化データの活用が進めば、企業のビッグデータ分析も大きく進展が期待できます。次に非構造化データを活用するうえでの長所を解説します。
● データの用途が広い
● 高速で収集できる

データの用途が広い

非構造化データは、データが必要になるまで未加工の状態で保存されるため、用途に応じてデータを柔軟に整形して活用可能です。

その反面、情報を潜在的に内包しているため、非構造化データから知見を取り出すのは専門家でないと難しい側面もあります。非構造化データの活用方法としては、顧客の購買情報とSNSに投稿された口コミを組み合わせて分析し、顧客ニーズへの深い理解を得てマーケティング施策に取り入れるなどが挙げられます。

高速で収集できる

非構造化データは、構造化データのように収集する際に事前定義を行い整形する必要がないため、データをすばやく収集可能です。

また、集めたデータをそのままデータレイクに保存できるため、簡単にデータ収集を行い分析に取り掛かれます。データレイクは比較的低コストで利用可能なため、膨大な非構造化データを保存しても大きな負担になりにくいです。

非構造化データの注意点

非構造化データの活用は長所ばかりではありません。これまで非構造化データの活用が進んでこなかった理由となる扱いにくい点も存在します。
● 検索や分析が行いにくい
● データ量が膨大になりやすい
それぞれ順番に見ていきましょう。

検索や分析が行いにくい

非構造化データは、形式が整えられていないためデータサイエンスに関する専門知識がないとうまく扱えません。用途が幅広い分、データから示唆を得るには、対象データに関する知識やデータ同士を関連付けるさまざまな角度からの分析が必要となります。

行や列などの属性を持たず検索性が低い非構造化データの分析に活用できるツールは、構造化データのように多くないため、分析手法も独自で確立することが求められる可能性もあります。

データ量が膨大になりやすい

非構造化データを大量に集めて規則性や組み合わせによって示唆を得るのが活用・分析のセオリーですが、非構造化データは整形を行わないため、データ容量が膨大になりやすいです。膨大なデータを管理するためのコストや日々増え続けるデータの整理にかかる手間などが課題として挙げられます。データの品質などを管理するデータガバナンスにも適切な費用を割き、データが管理されないまま散乱している状態を避けましょう。

ただ、非構造化データを収集するにあたって、コスト面も含めた保管方法の検討が必要でしょう。

ビッグデータ分析には非構造化データが重要

構造化データよりも膨大に存在する非構造化データの分析は、ビッグデータ活用において重要な項目です。FORTUNEではビッグデータ分析の市場規模は2030年までに約7,451億ドルまで成長すると予測しています。

出典:FORTUNE ビッグデータ分析市場規模、シェア |成長統計 [2030]

同調査では企業のビッグデータ活用方法についても調べられていて、「経営企画・組織改革」や「製品・サービスの企画、開発」と回答した企業が多いです。多くの企業が非構造化データの分析に着手しており、ビッグデータを経営企画やサービス開発といった企業運営の根幹となる部分に活用したいと考えていることがわかります。

非構造化データのAIによる分析が進んでいる

膨大な非構造化データを分析するにあたっては、AIを活用した機械学習やディープラーニングによって効率的に行うのが望ましいです。人間よりも正確かつ迅速なデータ分析が行えます。 しかし、非構造化データの分析におけるAI導入はまだ限定的です。

先ほどの「令和2年版情報通信白書」では、ビッグデータの分析手法について機械学習などを用いている企業の割合は、大企業で18.0%、中小企業で3.9%と企業規模で大きな開きがありました。

日本では企業の99.7%と大部分を中小企業が占めています。今後のAI技術の発展によって、企業規模による技術格差が埋まっていくことが望まれます。

まとめ│構造化データ・非構造化データについて理解してデータ分析の知識を深めよう

今回は構造化データと非構造化データの違いやそれぞれの長所などについて解説しました。

企業の効率的な経営にビッグデータの分析が必要とされる中で、両者の活用方法や特徴を知ることはとても大切です。

また、これまで活用されてきた構造化データだけでなく、ビッグデータの大部分を占める非構造化データを機械学習などの手法で効率的に分析することも求められています。

今後ますます需要が高まる市場において、エンジニアとしてデータ分析の知識・スキルを高めていきましょう。

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