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プロダクトマネジメントとは?求められるスキルや業務フローを解説

コラム

掲載日:2024/03/18

プロダクトマネジメントとは、製品の開発から撤退までの各プロセスにおいて、顧客ニーズを満たして製品の市場価値を最大化するためのマネジメント手法です。 顧客のニーズが多様化し、製品のライフサイクルが短くなる中で重要視されています。

本記事では、プロダクトマネジメントの概要や業務フロー、求められるスキルなどについて解説します。

現在注目されているDX推進においても重要なマネジメントスキルのため、プロダクトマネジメントについて知りたいエンジニアの方はぜひお読みください。

プロダクトマネジメントとは

プロダクトマネジメントは、製品の質を高めるだけでなく、顧客のニーズやトレンドを捉え、ビジネスの成功をプロダクトライフサイクルを通じて生み出すためのマネジメント手法です。プロダクトライフサイクルとは、製品が市場に投入されてから撤退するまでを一区切りとする循環のことで、導入期・成長期・成熟期・衰退期の4段階からなります。

また、ここでいうプロダクトとはソフトウェアやハードウェア、サービス、コンテンツなど顧客に価値提供できるもの全般を指します。プロダクトマネジメントにおいては、ビジネス戦略の立案や市場データの分析などの幅広いスキルが必要です。

ここからは、プロダクトマネジメントと混同されやすいプロジェクトマネジメントとの違いやプロダクトマネジメントが求められる背景について解説していきます。

プロジェクトマネジメントとの違い

プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントの違いは、目的や期間です。

プロダクトマネジメントでは、製品の市場価値を最大化することが目的で、マネジメントを行う期間はプロダクトが市場から撤退するまで続きます。 一方、プロジェクトマネジメントでは、プロジェクトをあらかじめ決められた予算・期間内に完遂することが目的であるため、プロジェクト終了までがマネジメントを行う期間です。

プロジェクトの内容によっては役割が重複する場合もありますが、基本的には目的やマネジメントを行う期間において異なる役割を担います。

プロダクトマネジメントが求められる背景

プロダクトマネジメントは、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進においても必要なスキルとされており、注目されています。

経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が、DX推進のために企業が必要な人材確保・育成の指針となるようまとめた「デジタルスキル水準」で、プロダクトマネジメントについて言及されています。この中で、DXを推進する人材に共通して求められる共通スキルのうち、ビジネス変革スキルの一つとして定められているのがプロダクトマネジメントです。

「2025年の崖」問題が迫る中でDX推進は急務であるため、DX推進に必要なプロダクトマネジメントスキルの注目度が高まっています。

プロダクトマネジメントトライアングルとは

プロダクトマネジメントの概念をフレームワーク化したものが、プロダクトマネジメントトライアングルです。

プロダクトマネジメントトライアングルでは、プロダクトマネジメントが関与するビジネス・開発者・顧客とプロダクトの関係性を示しています。頂点に配置された3つの要素をプロダクトマネジメントによって結び付けることで、プロダクトの市場価値が高められます。

本章では各要素の内容を具体的に解説していきます。

ビジネス

ビジネスは、プロダクトの市場価値を高めながら、収益性の向上にフォーカスする要素です。

開発者との間では、予算やリリース時期などの管理を行います。顧客との間では、利便性やニーズを満たす機能実装と、収益を上げられる価格設定の調整を行います。

プロダクトが顧客を獲得し、適正な収益を上げられるかを判断するために必要な要素です。

開発者

開発者は、プロダクトの開発を行う技術的な要素です。ビジネスや顧客の視点から挙がってくる要望を実装できるか検討する役割です。

ビジネスとの間では、新たなプロダクトが技術的に開発可能であるかや、予算・開発期間と開発者のリソースを調整します。顧客との間では、顧客が持つ隠れたニーズを把握してプロダクトに反映させられるか検証します。

顧客

顧客は、顧客満足度やUIUXの視点から顧客ニーズや不満への理解を深めるための要素です。

ビジネスとの間では、プロダクトがもたらす価値と設定された価格が妥当であるかの判断が行われます。

開発者との間では、ニーズを満たす機能が実装されているか顧客視点からフィードバックを行います。

プロダクトマネジメントの業務フロー

次にプロダクトマネジメントの流れを4つのステップで解説します。

● プロダクトの戦略立案
● プロトタイピング
● プロダクトロードマップとKPIの設定
● 効果測定と機能開発の振り返り

それぞれ順番に見ていきましょう。

プロダクトの戦略立案

最初に「誰のどのような悩みを解決するのか」を設定し、どのようなプロダクトを開発するのか戦略を立てます。

ここでターゲットを明確にし、必要に応じてインタビューや選択式のアンケート調査などを行って課題を抽出します。

戦略を立てる際には、ニーズやプロダクトについて仮説を立てたうえで、重要度と不確実性を整理して仮説検証の優先順位をつけておくと、後の行程を円滑に進めることが可能です。

プロトタイピング

次にプロダクトの試作品(プロトタイプ)を作成します。実際のプロダクトを開発する前に、必要最小限の機能やデザインのみを実装したプロトタイプを作成し、顧客ニーズを満たすプロダクトになっているかや、使い勝手の良さを検証します。

検証では、ターゲット層へのヒアリングや市場リサーチを行い、改善点を見つけることでプロダクト開発への反映が可能です。また、プロトタイプを開発する中で、開発に必要なリソースやコストが把握できるため、開発に必要な期間や予算がより明確になります。

プロダクトロードマップとKPIの設定

プロダクトマネジメントをどのように行い、目標を達成するのかを社内で共有するためにプロダクトロードマップの作成と、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の設定を行います。

プロダクトロードマップでは、プロダクトのビジョンや方向性、現在の進行度合いを要約します。これによって開発チーム全体で同じ方向を向いてプロダクト開発に関わることが可能です。また、KPIの設定によってプロダクトマネジメントの成果を適切に評価できます。

効果測定と機能開発の振り返り

プロダクトをリリースしたら、製品の機能や市場の反応を分析し、効果測定を行います。

プロダクトロードマップやKPIを参照することで、一貫した判断基準で評価可能です。効果測定の結果に基づき、適宜プロダクトに改善を加えながら、市場撤退までマネジメントを続けます。

プロダクトマネジメントに関わる主な職種/役割

プロダクトマネジメントに関わる主な職種/役割を4つ紹介します。

● プロダクトマネージャー
● プロダクトオーナー
● チーフプロダクトオフィサー
● プロダクトマーケティングマネージャー

本章では、実際にどの職種の人がどのような役割でプロダクトマネジメントに携わっているのか説明します。それぞれ順番に見ていきましょう。

プロダクトマネージャー(PM)

プロダクトマネージャー(PM)は、プロダクトマネジメントにおける全体的な現場責任者です。

開発計画の策定や市場分析などプロダクトマネジメント全般に携わり、関係者との調整や経営陣との橋渡しなど幅広い業務を担当します。プロダクトオーナーやチーフプロダクトオフィサーとは異なり、プロダクトマネジメントの実行部分を担うポジションです。

プロダクトオーナー(PO)

プロダクトオーナー(PO)は、プロダクトの成否における責任者です。現場で直接的に手を動かす場面は少ないですが、プロダクトバックログを作成し、プロダクトマネジメントの方向性や要件等を管理します。

プロダクトバックログとは、プロダクトのコンセプトを記載し、解決する顧客ニーズや実装する機能について優先順位を付けてまとめたものです。

チーフプロダクトオフィサー(CPO)

チーフプロダクトオフィサー(CPO)は、最高プロダクト責任者として独自プロダクトの企画・開発を担う経営層です。企業によってはCEOが兼任することもあります。

チーフプロダクトオフィサーの役割は、企業の経営戦略に応じてプロダクトの企画開発やプロダクトロードマップの策定、進行中の案件におけるプロダクトについての意思決定などです。

プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)

プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)は、プロダクトマネジメントにおけるビジネス部分に特化した職種です。

プロダクトマネージャーの業務範囲が広範にわたるため、マーケティングやセールスにかかわる業務を引き受ける存在として登場しました。プロダクトの販売戦略や市場分析といった業務を主に担当します。

プロダクトマネジメントに必要なスキル

最後にプロダクトマネジメントに必要なスキルを紹介します。プロダクトマネジメントは、プロダクト開発から撤退まで幅広くマネジメントを行うため、さまざまなスキルが求められます。

● マーケティングスキル
● データ分析スキル
● ビジネス戦略立案スキル

それぞれ順番に見ていきましょう。

マーケティングスキル

プロダクトの市場価値を高めるためにマーケティングスキルは必須です。

開発するプロダクトが誰に向けてどのようなニーズを満たすのか、仮説を立てたうえでプロダクトをリリースし、売り上げ目標を達成しなければなりません。また、プロダクトのライフサイクルが短くなっている中で、市場撤退時期も適切に見極めることが求められるため、マーケティングに関する高いスキルと知識が必要です。

データ分析スキル

ビッグデータを解析し、マーケティングやプロダクト開発の新たなアイディアを見つけるデータ分析スキルも重要です。

自社のラインナップや売り上げからどのようなプロダクトが市場に求められているのかや、顧客がどのようなニーズを抱えているのかを分析し、プロダクトに落とし込みます。データを基に立てた仮説からプロトタイプを作成し、改善を繰り返すことで完成品を目指します。

ビジネス戦略立案スキル

プロダクトマネジメントには、プロダクトを販売して収益を上げるための販売戦略が欠かせません。

自社プロダクトのポジションやコンセプト設計といった戦略を、ビジネスフレームワークなどを用いてロジカルに導き出す必要があります。

戦略立案にあたっては、顧客視点を大切にしながら、データ分析やマーケティングによって得られた知見を基に組み立てを行うことが求められます。

まとめ│プロダクトマネジメントのスキルを身につけよう

今回はプロダクトマネジメントの概要や業務フロー、必要なスキルについて解説しました。プロダクトマネジメントは、海外から始まり日本でも浸透しつつあります。現在国を挙げて進められているDX化においても、プロダクトマネジメントは求められるスキルとして取り上げられるほどです。

短いライフサイクルで次々とプロダクトが生み出される中で、顧客とプロダクトを起点とするプロダクトマネジメントの重要性は高まっています。プロダクトマネジメントに携わってみたいと思われた方は、今後のキャリアの選択肢に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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