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『デジタルフィードバックループ』とは? 活用のメリットと強化する方法

コラム

掲載日:2024/03/15

『デジタルフィードバックループ』とは、Microsoft社が提唱しているDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるためのフレームワークをいいます。一般的によく知られているPDCAサイクルもフィードバックループの一種です。

このフレームワークを活用することで、定量的なマーケティング戦略の立案が行えるため、経営の意思決定に寄与できるでしょう。この記事では、『デジタルフィードバックループ』の基本的な捉え方や活用するメリットなどを解説します。

『デジタルフィードバックループ』とは

『デジタルフィードバックループ』とは、Microsoft社が提唱しているDXを推進するためのフレームワークのことを指します。そもそも、フィードバックループとは、フィードバックを繰り返すことによって改善や調整を図り、より良い結果を得るために行われるものです。

フィードバックループのプロセスを、デジタル技術を使って支援するのが、『デジタルフィードバックループ』です。デジタルを活用することで、データの収集や分析が迅速に行えるため、効果的な施策の実施につなげていけるでしょう。

おもに人・顧客・業務・製品の4つの領域から、自社に関するデータを収集、分析してその結果をさらにブラッシュアップさせていくのが、『デジタルフィードバックループ』の基本的な取り組みとなります。

日本におけるDXの現状

日本においてもDXを推進する流れが出てきていますが、対応は個々の企業によってさまざまです。企業にとってDXを実現する目的は、顧客に対する新たな付加価値の提供や業務効率化、生産性の向上などが挙げられますが、DXを推進するには全社的な取り組みが必要です。

しかし、日本企業の場合、システムが部門ごとに個別最適化しているケースが多いため、情報を統合して意思決定に活かす、データドリブンの手法を経営に反映させるのが難しいといえるでしょう。また、システムそのものは統合していても、レガシー化している場合にはデータが複雑化・ブラックボックス化して、必要な情報を収集できないことがあります。

『デジタルフィードバックループ』が実行できるツールを導入することは、DXを推進するためのひとつの方法であるともいえます。個々の事業部門が保有しているデータをクラウド型プラットフォーム上に一元化することで、フィードバックデータを活用した迅速な意思決定ができるようになるでしょう。

従業員・顧客・業務・製品の4つの領域において、より効果的なデータ活用が行えるため、自社のDXの取り組みをさらに強力に推し進められます。自社が抱える経営や業務における課題を明らかにしたうえで、どのような取り組みが行えるのかを検討してみましょう。

『デジタルフィードバックループ』を活用することで得られるメリット

デジタルフィードバックループを取り入れることで、企業は次のようなメリットを得られます。

・定量的にマーケティングの戦略立案が行える
・データを基に経営判断の材料を提供できる
・業績の向上に役立てられる

各メリットについて、さらに詳しく解説します。

定量的にマーケティングの戦略立案が行える

『デジタルフィードバックループ』を活用すれば、製品やサービスに対する評価の効果測定を定量的におこなうことができるため、改善にむけた施策が精度高く行えるようになります。例えば、Webサイトを訪問したユーザーの行動履歴などのデータを分析することで、より見やすいサイトに改善していくといった施策を実行できるでしょう。

また、BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールやアプリケーション開発ツールなどを連携させることで、気候の変化などの要素を反映させた売上予測を行うこともできます。定量的なマーケティングの戦略立案に活用できるため、より高い成果を期待できます。

データを基に経営判断の材料を提供できる

『デジタルフィードバックループ』を取り入れることで、自社の経営状況をさまざまな角度から把握でき、データに基づいた客観的な将来予測を立てられます。例えば、従業員の経験やスキルを把握したうえで人材育成・人材活用につなげたり、業務フローを見直すことで業務の効率化につなげたりすることを提案できるでしょう。

しかし、どれほどよいデータを収集し、分析できたとしても実際の施策や経営に反映されなければ、データ活用としての効果が薄れてしまいます。そのため、『デジタルフィードバックループ』を導入して、経営判断の材料として活用してみましょう。

業績の向上に役立てられる

データ活用を推し進めていくことで、最終的に業績の向上に結び付けられます。将来予測を行うことで、自社がどの領域で強みを持ち、経営資源を最適化していけばよいかを把握できるでしょう。

『デジタルフィードバックループ』を活用して施策の改善に取り組んでいけば、競合他社との差別化を図り、顧客から支持されるアプローチを行っていけるはずです。企業の持続的な成長や業績の向上につながるといえます。

4領域における『デジタルフィードバックループ』の運用方法

『デジタルフィードバックループ』を効果的に活用するには、従業員・顧客・業務・製品の4つの領域をきちんとデータを通して把握する必要があります。これらの領域は個別に機能しているわけではなく、それぞれが連携してデータを活用することで、高い成果を発揮できるでしょう。

各領域における『デジタルフィードバックループ』のポイントを解説します。

従業員からのシグナルを受け取り、より成果を出す人材を育成する

「従業員」など社内で働く「人」の領域においては、人材活用や人材育成、適切な人員配置といった部分でデータを活用できます。従業員一人ひとりのスキルや経験、能力などの属性情報を基にフィードバックを行うことが可能です。

1on1ミーティングなどの定期的な面談を通じて、従業員本人とのコミュニケーションの内容をデータとして蓄積していくことが重要です。現在抱えている課題や悩みを共有することで、業務におけるパフォーマンスを高めるにはどうすればよいか、具体的な改善策を講じるきっかけをつかめるでしょう。

高い生産性を上げるハイパフォーマーを育成するには、全社的な取り組みとして進めていくことが重要です。従業員本人とのやりとりだけでなく、上司や他部門とも連携をしながら、人材活用を最適化し、より成果を出せる人材育成を進めましょう。

顧客からシグナルを受け取り、より深い関係を築く

顧客と日々接している営業部門だけが顧客情報や取引情報を管理するよりも、関係部署がそれらの情報を共有できる体制を整えておくほうが、顧客へのよりきめ細かなアプローチにつながるでしょう。

営業活動に関する情報だけを社内で共有するのではなく、担当者の情報や会計情報なども活用して、サービスの質を高めていくことが大切です。また、顧客からの要望や意見などもデータとして収集し、分析結果を共有することで新たな製品・サービスの開発につなげていけるでしょう。

顧客が求めることを丁寧かつ迅速に反映していければ、顧客とより深い関係を築くことにつながり、結果として業績の向上につながります。営業部門やマーケティング部門などの協力を得ながら、データ活用を推進していきましょう。

業務データを収集し、業務を効率化する

日々の事業活動において、業務に関するさまざまなデータが蓄積されています。生産管理・販売管理・会計情報・人事情報・各種報告書などのデータを収集し、分析していくことで、業務フローの把握や意思決定のプロセス、ボトルネックとなっている課題などが明らかになるでしょう。

個々の業務は最適化されているように思えても、全体を俯瞰してみると重複する業務の発生、特定の業務に多くの時間が割かれていることが判明するものです。そのため、業務改善に取り組むときは、業務に関するデータを収集・分析して、個別の部署や個々の従業員にフィードバックしていきましょう。

デジタル技術を用いて、より効果的なフィードバックを行っていくことで、業務のサポートを円滑に進めていけます。

製品のパフォーマンスを監視し、製品を改良・交換する

製品やサービスに関する保守情報・販売情報・顧客アンケートなどのデータを共有し、新たな製品・サービスの開発や改良、交換につなげていくことができます。パフォーマンスを継続してチェックすることで、顧客のニーズにより応えやすくなるでしょう。

製品やサービスに関するデータは、製造部門などに集中してしまいがちです。しかし営業やマーケティングなどの部門にも共有することで、多角的な視点でビジネスを展開できます。顧客と接する営業担当者から得られた情報をマーケティング部門などへ共有することで、顧客の要望に合わせた改良をスピーディーに行えるでしょう。

まとめ:『デジタルフィードバックループ』を活用してDXを推進しよう

『デジタルフィードバックループ』とは、Microsoft社が提唱している概念であり、DXをより速いスピードで推進させていくためのフレームワークを指します。デジタル技術を活用することで業務の効率化を行っていき、最終的には企業業績の向上を目指していきます。

有益なデータも、各領域で別々に管理されているだけでは、業務の効率化に活用できません。データを一元化し、効果測定や将来予測などを行うことで、迅速な経営の意思決定につなげていけるでしょう。

DXを実現するためには、全社的な取り組みとして進めていく必要があります。客観的なデータを基に必要な施策を実施していくことで、企業価値を高めていけるでしょう。

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