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『リポジトリ』とは? おもな機能や種類を紹介

コラム

掲載日:2024/03/12

ソフトウェアの開発においては複数の工程があるため、作業の効率化を考えながら取り組む必要があります。また、複数人でプロジェクトを進行することも多く、そのようなときに『リポジトリ』を取り入れることで、一元管理やバージョン管理などを行いやすくなります。

『リポジトリ』は開発に必要なあらゆる情報を蓄積、管理しているデータベースを意味しますが、バージョン管理やブランチ管理などの実装されている機能を活用することで作業効率を大幅に高められるでしょう。『リポジトリ』を開発現場で活用する際は、GitやSVNなどのアプリケーション開発支援ツールを用います。

GitやSVNなどのツールを導入することで、テストやデプロイ(実行ファイル配置)などの自動化が行えるようになり、作業を省力化できるはずです。詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。

この記事では、『リポジトリ』の基本的な特徴やおもな機能、種類などを詳しく解説します。

『リポジトリ』の意味とは

『リポジトリ』(repository)とは、データやファイルなどの保管場所を表す言葉です。『リポジトリ』に何を保管するかは分野によってさまざまですが、システム開発においては仕様や変更履歴などのあらゆる情報を一元管理する場所という意味で使われます。

『リポジトリ』を取り入れることで、重複するデータを整理したり、複数人で同時に作業できたりするため、開発スピードを上げられるでしょう。システム開発工程のあらゆる部分で活用でき、誰が何をどのように作業したかが正確に把握できる仕組みです。

『リポジトリ』が必要とされる理由

『リポジトリ』の機能を用いることで、複数の開発者が同時に作業を行うときの効率を高められます。開発に必要な情報を『リポジトリ』によって一元管理できるため、データに何か変更を加えても履歴が共有されるため、ミスを防ぎやすくなるはずです。

また、開発者は『リポジトリ』を使用することで、アプリケーションのバージョンに直接影響を与えずに、新機能やバグの修正を行うことが可能です。アプリケーションがリリースされる前段階で適切にテストを行えるようになり、品質の向上につながるため、『リポジトリ』が活用されているといえます。

『リポジトリ』が登場した経緯

『リポジトリ』は複数のCASEツール(Computer-Aided Software Engineering Tools)とデータディクショナリ(Data Dictionary)を統合するものとして、1980年代に登場しました。その後『リポジトリ』の概念が拡張されていき、幅広い分野で用いられるようになったといえるでしょう。

CASEツールでは、計画、分析・設計、製造、保守の4段階にソフトウェア・ライフサイクルが分けられています。『リポジトリ』は各工程で作成されたデータモデルやプロセスの構成要素を保持して、整合性を維持します。『リポジトリ』内のデータの一貫性・完全性が保証されることに大きな特徴があります。

『リポジトリ』の機能

『リポジトリ』をうまく活用するには、どのような機能があるのかを把握しておくことが大切です。おもな機能として、次のものが挙げられます。

・バージョン管理
・ブランチ管理
・リモートリポジトリを通したファイル共有
・コードの比較・統合
・バックアップ

各機能について、それぞれ紹介します。

バージョン管理

『リポジトリ』を活用することで、古いバージョンから新しいバージョンまでのファイルを一元的に管理できます。ファイルの変更履歴(変更時間・担当者・ファイル名・変更箇所・メッセージ内容など)を記録して追跡することが可能であり、複数の開発者が同時に作業を行えます。

修正を行うときは、新しいファイルの作成やファイル名の変更をする必要はありません。むやみにファイルが増えてしまうのを防げるため、ファイル管理を手軽に行える仕組みとなっています。

ファイルを誤って上書きしてしまったとしても、すぐに任意のバージョンに戻せるため、作業ミスを減らせるでしょう。

ブランチ管理

ブランチとは、ファイルの変更履歴を分岐して管理するための仕組みを指す言葉です。ブランチを作成することで、元のコードを保持しつつ、新たな開発に取り組めるようになります。

開発が完了した段階で、元のブランチに変更点を反映(マージ)させることで、新機能を元のコードに反映させられます。大規模なプロジェクトを進める際は、ブランチ管理の機能は多いに役立つはずです。

ただし、チームで作業を行うときはメンバー全員が『リポジトリ』を使える状態にしておく必要があります。一部のメンバーが別のストレージを使ってしまうと、作業効率が下がってしまうので注意が必要です。

共同で作業を行うときは、あらかじめ運用ルールを策定して、共有しておきましょう。

『リポジトリ』の競合と解決方法

『リポジトリ』からファイル更新などを行うときに、複数の開発者が同一ファイルの同じ行を変更することで、ファイルの競合が起こる場合があります。競合が発生した際は、手動での解決が必要です。

開発作業を進めているブランチにおいて、プルリクエスト(変更を提案内容として送信する機能)によって競合の問題を解決できます。

リモートリポジトリを通したファイル共有

リモートリポジトリとは、サーバー上のデータの保存場所を指します。リモートリポジトリにファイルをアップロードしておけば、アクセス可能な誰でもダウンロードが可能となるので、同時に複数人で作業を進められます。

コードの比較・統合

『リポジトリ』では複数のバージョンでコードを比較したり、あるいは統合したりできます。

複数のブランチで作業した結果を統合すれば、作業効率を高められます。また、変更点を元のコードに統合する前にチェック・承認ができるため、誤って上書きされることを防げます。

バックアップ

後述するローカルリポジトリやリモートリポジトリにファイルを保存することが可能です。そのため、何らかの要因でプロジェクトが消えてしまった場合でも、バックアップからファイルを復元できます。

複数人で開発を進めなければならない環境ほど、思いがけないトラブルが発生してしまいがちです。安心して作業に取り組めるように、『リポジトリ』を活用してバックアップをきちんと取っておきましょう。

『リポジトリ』の種類

『リポジトリ』には大きく分けて、「ローカルリポジトリ」と「リモートリポジトリ」の2種類があります。どのような使い分けをおこなうのかを解説します。

ローカルリポジトリ

ローカルリポジトリとは、開発者の手元のパソコンにある『リポジトリ』のことをいいます。ローカルリポジトリは、それぞれの開発者が自らの作業を管理するために使うもので、開発者が作業したファイルとバージョン履歴をすべて保存することになります。

リモートリポジトリ

リモートリポジトリとは、ネットワークで接続しているサーバーなどに格納されている『リポジトリ』のことをいいます。複数の開発者がサーバーにアクセスすることで、情報共有や開発を同時に行えるのが特徴です。

それぞれの開発者がローカルリポジトリで行った作業は、リモートリポジトリにアップロードすることで変更の共有が行えます。また、リモートリポジトリはバックアップ機能としての役割も果たしており、ファイルの破損や別の環境で作業を行う場合に、リモートリポジトリからコピーを取得することで、元のバージョンで作業が行うことが可能です。

『リポジトリ』を活用するメリット

『リポジトリ』を活用することで、さまざまなデータを一元管理でき、開発効率を高められます。得られるメリットについて解説します。

あらゆる情報を一元管理できる

『リポジトリ』を活用するメリットとして、あらゆる情報を一元的に管理できることが挙げられます。バージョン管理機能を用いれば、変更履歴の確認を行いやすく、必要に応じて以前のバージョンに戻せます。

何かトラブルが起こったときの復元や特定の時点でのデータの状況を再現できるので、開発をスムーズに行いやすくなるでしょう。たとえば、『リポジトリ』はアプリケーションの開発工程における仕様・デザイン・ソースコード・テスト情報・インシデントに関する情報などを保存可能です。開発を進めていくなかで得られる情報や成果物を関連するメタデータとひも付け、データベースとして活用できます。

開発を効率良く進められる

『リポジトリ』は複数人で開発を進めることを前提としているため、チームで開発を行うときに役立ちます。いつの時点でどのような変更が行われたのかを把握できるため、複数人で同時に作業を行っていても、変更の重複の防止、過去に開発されたソースコードや機能などを再利用することが可能です。

また、サーバーにあるリモートリポジトリを活用すれば、リモートでの作業や別の環境からのチェックも容易になるでしょう。大規模なプロジェクトであるほど、作業効率を高めることができるため、ソフトウェア開発において『リポジトリ』は欠かせない存在であるといえます。

まとめ:『リポジトリ』の基本ポイントを理解して上手に活用してみよう

『リポジトリ』は、複数の異なるデータや成果物などを蓄積するためのデータベースやアーカイブのことを指します。ソフトウェアエンジニアリングの領域では、システム開発工程に関するあらゆる情報を蓄積し、管理するための機能や仕組みのことを『リポジトリ』と呼んでいます。

『リポジトリ』にはさまざまな機能が備わっており、バージョン管理やブランチ管理の機能を用いることで、開発作業の効率を高められるだけでなく、ミスの発生を防げるでしょう。またリモートリポジトリを活用すれば、情報共有を行いながら複数人で同時に作業が行えるため、大規模なプロジェクトの進行に役立ちます。

『リポジトリ』の基本的な特徴や機能、種類などを踏まえたうえで、ソフトウェアの開発に活用してみましょう。

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