メインコンテンツへ

『API』について連携の仕組みや活用事例までわかりやすく解説!

コラム

掲載日:2024/02/13

『API』はシステムやアプリケーションを連携し、機能を拡張する仕組みで、開発速度やユーザビリティの向上に貢献しています。生成AIとして有名なChatGPTも『API』を提供しています。『API』を利用すれば実装する機能の幅を大きく広げられるでしょう。

本記事では『API』連携の仕組みや活用事例について、わかりやすく解説します。『API』を使ったWebアプリケーションや社内システムの開発に関心があるエンジニアの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

『API』とは

『API』(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアやアプリケーション、Webサービスなどを連携するためのインターフェースです。『API』を利用すれば、他サービスの機能の一部やデータベースと連携できるため、システム開発の効率化や機能の追加が可能です。

『API』の活用によって、利用者側はログイン情報の省略や高いセキュリティによる個人情報保護などの恩恵も受けられます。

『API』を提供する側は、自社機能の一部を公開し利用量に応じて料金を請求することで、収益源にもできます。さらに技術を多くの企業に利用してもらえば新たなビジネスが生まれるきっかけにもなるでしょう。

『API』連携の仕組み

『API』連携の仕組みは、『API』の利用者によるリクエストと『API』の提供者によるレスポンスの大きくふたつから構成されています。

提供者はリクエストに必要な情報や、リクエストに対するレスポンスを先に定めます。その内容に則って利用者はリクエストを行います。提供者は、リクエストを受け取ったらリクエストの内容に応じて利用者にレスポンスを返し、利用者は受け取ったデータを活用してサービスを提供します。

例えば、Amazon Payの『API』をECショップ等が利用すると、Amazonに登録している決済方法で購入ができるため、ECショップにクレジットカード番号を登録する必要がありません。ユーザーが決済方法にAmazon Payを選択すると、ECショップ側がAmazon側に住所をリクエストします。

サインイン後の戻り先URLにリダイレクトすると、住所情報の取得が始まり、GetCheckoutSessionが実行されます。すると、Amazon側は、住所情報と支払い方法をレスポンスとして送信します。

カート情報更新後に、注文確定ボタンをクリックすると、オーソリ(カード情報処理)実施後に、決済結果の評価用urlにリダイレクトし、決済の成功もしくは失敗の結果が表示されます。

このように、ユーザーはクレジットカード情報や届け先に関する情報を、Amazonの利用者情報を使うことで、ECショップに入力せずに手間を省いて購入が可能です。

『API』の種類

次に『API』の種類について解説します。『API』は連携するものや提供される環境によって種類が異なるため、分類を知っておくとよいでしょう。『API』の種類は次の5つです。

● Web『API』
● ネイティブ『API』
● ランタイム『API』
● ライブラリ『API』
● データベース『API』

それぞれ詳しく解説します。

Web『API』

Web『API』は、Web上で動作する『API』です。『API』の中で最も多く用いられており、HTTP/HTTPS方式で通信をおこなうため、利用者と提供者とで使用するプログラミング言語が異なっていても通信が可能です。

Web『API』には、広く一般的に公開されているオープン『API』と、特定の相手にだけ公開するパートナー『API』、内部利用を目的としたクローズド『API』などがあります。

ネイティブ『API』

ネイティブ『API』とは、WindowsやAndroidなどのOSにあらかじめ組み込まれた『API』です。OSが保有する機能を、アプリケーションやシステムに組み込めます。

例えば、Windowsが提供するWindows『API』は、Windows上でプログラミングを行い、開発したプログラムからWindowsの機能や情報が利用できるようになります。

ランタイム『API』

ランタイム『API』は、プログラムを動かす環境が提供する『API』です。プログラムの実行時に動的な操作が行えるため、アプリケーションやシステムの状態をリアルタイムで確認できます。そのため、問題発生時の初動が早くなる点が特徴です。

例えば、Javaでは、アプリケーション開発に必要な標準機能が『API』として提供されています。

ライブラリ『API』

ライブラリ『API』とは、プログラミング言語のライブラリが提供する『API』です。Javaでは、クラスライブラリやコア『API』、標準『API』とも呼ばれます。外部から利用できる特定の機能を持ったプログラム部品をクラスと呼びます。複数のクラスを一つのファイルにまとめて格納したものが、クラスライブラリです。

クラスライブラリを用いれば、膨大なコードを書かなくても数行で機能実装が可能になります。

データベース『API』

データベース『API』とは、外部のデータベースと連携し情報取得を行う『API』です。システムとデータベースの間のやりとりを円滑に行うために、『API』が提供されています。データベース内のリアルタイムな情報を、効率的にシステムに実装することが可能です。

『API』を利用するメリット

ここからは、『API』を利用するメリットについて解説します。実際に『API』を利用すると、どのようなことが可能か参考にしてみてください。主なメリットは次の3点です。

● システム開発の効率化
● ユーザーの利便性向上
● データ二次利用による分析

それぞれ詳しく解説していきます。

システム開発の効率化

『API』を利用すると、システム開発の効率化が図れます。『API』を提供しているシステムの多くは、特定の領域に強い機能を持つため、連携すれば質の高いシステムを一から開発することなく利用することが可能です。

これによって、システム開発にかかる工数を大きく削減できるため、コストや開発期間の効率化が可能です。削減できたコストはユーザーへのシステム提供価格を低く設定することにも活かせます。

開発者はUIなど他の部分に力を注ぐことができるようになり、開発するシステムの品質も向上するでしょう。

ユーザーの利便性向上

『API』を利用すれば、ユーザーの利便性向上にもつながります。決済方法やログイン情報など大手のサービスと『API』連携を行えば、ユーザーは何度も入力する必要がなくなり、手軽にサービスを利用できます。

Amazon Payのように、Amazonで利用している決済手段を用いて他のECショップでも決済が行えると、ユーザーの手間が省け、スムーズな購入が可能です。また、ECショップはユーザーのクレジットカード情報などを保有する必要がなくなるため、決済情報に関する漏えいリスクを減らせます。

データ二次利用による分析

『API』提供者から連携されるデータを用いて分析を行う、二次利用が可能になります。他の企業が提供するデータを用いて分析を行えば、これまで発見できなかった顧客の行動特性が見つけられる可能性があります。

自社で情報収集を行わなくてもよくなり、分析だけに集中してリソースが割けるため、手間を大幅に削減可能です。

『API』の活用事例

次に『API』の活用事例を紹介します。実際に提供されている『API』の機能をそれぞれ解説するため、『API』連携を行うシステム開発の上で参考にしてください。今回紹介する『API』の事例は次の3つです。

● ChatGPT API
● LINE Messaging API
● ぐるなび API

順番に見ていきましょう。

ChatGPT API

ChatGPT APIは、OpenAIが開発した生成AIのChatGPTと連携ができる『API』です。生成AIには高い技術と長期の研究開発が必要なため、『API』連携を行うだけでChatGPTの機能が実装できるのは大きなメリットと言えるでしょう。

ChatGPT APIを導入すると、自然言語処理を活用したチャットボットや文章の翻訳・要約ツール、プログラミングコードの修正・レビュー機能などを開発できます。

また、ChatGPT APIを活用すれば、ChatGPTに入力された情報はAI学習に利用されないため、生成AIのデメリットとして挙げられる機密情報漏えいリスクも低減できます。

LINE Messaging API

LINEが公開するMessaging API では、LINEの自動返信ボットなどの開発が可能です。この機能を用いてLINEで店舗予約ができる機能の開発やオンライン会員証の発行、公式LINEの機能拡充が行えます。

メールよりもLINEを日常的に使うユーザーが若年層を中心に増えているため、メールマガジンのように登録ユーザーに対して自動で一斉送信できるLINE Messaging APIは有用であると言えるでしょう。

ぐるなび API

ぐるなび APIは、ぐるなびに登録されている全国12万店の店舗情報を活用できる『API』です。ぐるなび APIでは店名・住所・電話番号・営業時間・アクセス情報・画像などの店舗情報が取得できるようになっており、毎日更新されるため常に最新情報が利用できます。

例えば、ぐるなび APIとGoogleMapを組み合わせてアプリ開発を行えば、近隣の飲食店の詳細情報を簡単にユーザに提供することが可能です。

『API』利用時の注意点

最後に『API』を利用する際の注意点についても解説します。メリットの多い『API』ですが、利用にあたって気をつけなければならないポイントも存在します。『API』を利用する際の注意点は主に次の2点です。

● 使用量を管理する必要がある
● 機能やサービス提供体制を依存することになる

それぞれ詳しく解説します。

使用量を管理する必要がある

『API』を利用する際は、使用量を管理しておかなければなりません。提供されている『API』の多くは、使用量に応じて料金が発生する従量課金制を採用しています。そのため、使用量を管理していないと想定よりもたくさん使ってしまい、多額の費用が発生してしまう場合があります。

例えば、ChatGPT『API』は入出力のトークン数に応じて費用がかかる料金形態です。長文での入出力などを行うと費用が高くなります。

機能やサービス提供体制を依存することになる

『API』を利用してシステム開発を行うと、『API』提供者に機能やサービスの提供体制を依存してしまうデメリットがあります。『API』提供者が仕様変更を行えば、それに合わせてシステムの仕様を変える必要があります。また、『API』の利用料金が値上げされれば、それに伴ってシステムの料金も値上げする必要が出てくるかもしれません。

また、『API』提供者側のトラブル発生やサービス終了にも大きな影響を受けます。トラブル発生時の対応を事前に決めておくなど、万が一の事態に備えておくとよいでしょう。

まとめ:『API』を上手に活用して効率的なシステム開発をしよう

今回は、システム開発を効率化できる『API』連携について解説しました。『API』は、一部利用に際して注意が必要な点もありますが、システム開発のスピードアップやユーザーの利便性向上といったメリットがあります。

また、他社が公開するデータベースに連携して、データの二次利用を行えば、効率的な分析作業が可能です。『API』は官公庁のデータベースや生成AIのChatGPTなどさまざまなものが公開されています。気になる機能があれば一度利用してみることをおすすめします。

募集職種一覧