メインコンテンツへ

『RDB』(リレーショナルデータベース)とは?NoSQLとの違いも解説

コラム

掲載日:2024/01/19

『リレーショナルデータベース(RDB)』はデータの一貫性や正確性を担保し、高度なデータ処理に向いており、現在多くの場面で活用されています。大容量のデータを高速処理することに強みを持つNoSQLとは違った性質を備えています。この記事では、『RDB』の基本的な特徴やメリット・デメリット、NoSQLとの違いについて詳しく解説します。

『RDB』とは

『RDB』は1970年に提唱された概念であり、データをExcelのような表形式で管理することに特徴があります。データ管理の基本となる考え方であり、『RDB』においてはデータを行と列によって構成されるテーブルに格納していきます。

『RDB』はデータ整理と抽出が効率的に行える仕組みであり、必要に応じて個別のテーブルで保存したデータを比較するといったことが可能です。データの一貫性と正確性を保つのに優れた効果を発揮するといえるでしょう。

データベース利用の初心者からベテランまで、様々な用途で使うことができる汎用性を備えています。データベースの基礎的な部分として、しっかり押さえておく必要があるでしょう。

『RDB』の6つの特徴

『RDB』をうまく使いこなすためには、どのような点で優れているのかを理解しておく必要があります。『RDB』には基本的な特徴として、以下の6つの点があげられます。

・データをテーブル形式で格納できる
・データ操作にSQLを使用する
・テーブル間の関連性を示せる
・データの処理コストを抑えられる
・データに一貫性がある
・ACID特性を保証する

基本的な特徴としてあげられる6つの点について、さらに詳しく見ていきましょう。

データをテーブル形式で格納できる

『RDB』の特徴として、行と列で構成されるテーブルにデータを格納できるシステムであることがあげられます。行は特定のレコードを示す役割を持ち、列はレコードの属性を表しており、表形式のデータ構造が情報の整理と抽出を効率的なものにしています。

テーブル形式の格納は、データ管理とシステム運用の基盤であるともいえます。データの視認性や直感的な操作が可能です。

データ操作にSQLを使用する

『RDB』のデータ操作においては、一般的にはSQL(Structured Query Language)が用いられます。SQLとは、データベースへのアクセスや定義をおこなうデータベース言語の一種です。

SQLを用いることによって、データの検索や挿入、更新、削除といった操作を簡単に行うことができます。また、テーブル間の関係性を表現することで複雑なクエリを実行することが可能です。

テーブル間の関連性を示せる

『RDB』は別々のテーブルに格納されたデータの関連付けを行うことに適しています。関連付けを行うことによって、データの一貫性と正確性を高めることになり、複雑なクエリの実行ができるようになります。

重複するデータの排除や効率的なデータ管理が実現されることで、データの信頼性が高まるといえるでしょう。

データの処理コストを抑えられる

『RDB』を活用することで、データ処理の追加コストが発生することを抑えられます。複数のテーブルを追加すれば、処理コストの低減が図れるでしょう。

『RDB』では、それぞれのテーブルが連結されているので、追加・削除・更新といった処理にかかるコストを最小限に抑えられるのです。

データに一貫性がある

『RDB』はデータの一貫性を維持することに向いています。データベース内のすべてのデータが一定のルールに沿って運用されるため、齟齬のないデータ管理が行えるようになります。

『RDB』においては、制約などを用いることでデータ変更が一貫性のルールに沿うものとなるように強制できます。データの一貫性を維持することは、信頼性を高めることにつながるはずです。

ACID特性を保証する

ACID特性とは、原子性(Atomicity)・一貫性(Consistency)・分離性(Isolation)・耐久性(Durability)の頭文字をとったものであり、安全にトランザクションを処理するための特性をいいます。『RDB』ではACID特性が提供されており、データの安全性や整合性がとても高い水準にあるといえるでしょう。

『RDB』のメリット

『RDB』を用いることで、いくつかのメリットが得られます。具体的には、次の3点があげられるでしょう。

・データの正規化ができる
・複雑な検索や集計ができる
・データの整理・管理が手軽に行える

各メリットについて、さらに詳しく解説します。

データの正規化ができる

『RDB』においてはデータの正規化が行える点がメリットとしてあげられます。データの正規化とは、重複や欠落がなくデータの整合性が保たれている状態のことをいいます。

つまり、データベース内で同じデータが存在したり、古い情報がそのままになったりすることを避けられるのが特徴です。データの正確性が問われる分野において、『RDB』は大きな力を発揮できるといえるでしょう。

データの正規化はビジネスプロセスにおいて、信頼性と効率性を担保するために不可欠な要素です。

複雑な検索や集計ができる

『RDB』ではデータの操作をおこなう際にISOで規格化されたデータベース言語であるSQLを使用しています。SQLの活用によって、データの登録や検索、集計を行うときに複雑な条件設定ができるようになります。

より高度なデータ処理が必要とされる場面において、『RDB』は役立つでしょう。

データの整理・管理が手軽に行える

『RDB』はデータを関連性のあるテーブル形式で格納できるのが特徴であり、データの整理と管理が手軽に行えるといえるでしょう。テーブル同士の紐付けが明確になることで、情報を一元管理できるようになります。

『RDB』のデメリット

『RDB』には多くのメリットが存在していますが、少なからずデメリットもあるので注意が必要です。おもなデメリットとして、以下の点があげられます。

・固定的なスキーマ
・設計やクエリ実装が複雑になる
・大容量のデータだと処理速度が遅くなる

各デメリットについて見ていきましょう。

固定的なスキーマ

『RDB』はスキーマに基づいたものであるため、新たなタイプのデータを追加するためには、スキーマの変更が必要になります。しかし、スキーマの変更には多くの時間とリソースを必要とするので、大規模なデータベースにおいては難易度が高くなるでしょう。

また、『RDB』では音声や画像といったテキスト化されていないデータの保管には適していません。音声や画像といったデータを保管したいときには、後述するNoSQLを用いた方がより優れたパフォーマンスを発揮できる場合があります。

設計やクエリ実装が複雑になる

『RDB』は複雑な処理が可能な一方で、プログラム自体も複雑なものとなり、誰でも手軽に扱えるわけではありません。実装と保守が複雑なものになる恐れがあるので、導入のための準備が必要になるといえるでしょう。

大容量のデータだと処理速度が遅くなる

『RDB』のデメリットとして、取り扱うデータの容量が大きくなると、処理速度が遅くなるといった点があげられます。『RDB』では保管しているデータを関連づけて整理することになるので、データの容量が多ければその分だけ関連づけられる情報量も多くなるからです。

『RDB』とNoSQLの違い

『RDB』はデータを関連づけて正確に保管するといった点では優れていますが、処理するデータが多い場合には対応しきれない部分があります。『RDB』は単一のサーバーで稼働しており、昨今注目されているビッグデータなどでの利用は本来想定していないからです。

NoSQLはSQLを使用しないことに特徴があり、音声や画像などテキスト化されていないデータも取り扱うことが可能です。ここでは、NoSQLの特徴や『RDB』との違いについて解説します。

NoSQLとは?

NoSQL(Not Only SQL)とは、データベースの一種であり、『RDB』ではないデータベースの総称を指す言葉です。NoSQLはトランザクションが存在せず、高速処理が実現できます。

システムの拡張や分散性に優れており、スケールアウト(サーバーの台数を増やしてシステムの処理能力を高めること)に対応しやすいという特徴もあります。データ量の増加にも柔軟に対応できるのが優れている点です。

また、『RDB』が固定化されたスキーマを必要とするのに対して、NoSQLは様々な形状や構造のデータにも対応できます。音声や画像といった非構造化データやJSON、XMLなどの半構造化データにも対応しており、ビッグデータとの相性も良いのが特徴としてあげられます。

『RDB』とNoSQLの違い

『RDB』とNoSQLでは、それぞれ備えている特徴が異なります。違いについてまとめると、以下の通りです。

機能・特製 RDB NoSQL
構造 スキーマに基づいたテーブル構造 スキーマにとらわれない柔軟な構造
処理速度 データ量が増えると遅くなる データ量に左右されない
検索精度 高い 低い
クエリ言語 SQL 専用のクエリ言語がある場合もあり
トランザクション ACID特性を保証 一般的に、厳格なトランザクションは保証されない
スケール 垂直スケーリング 水平スケーリング
主な活用例 顧客情報管理、予約システム、在庫管理など モバイルアプリ、ストリーミングデータ、リアルタイムの情報収集など

上記のように、『RDB』とNoSQLとでは利用が想定されるシーンが違ってくるので、取り扱うデータの種類に応じてうまく使い分けていくことが大事です。基本的にはデータの正確性や関連性が問われる場面では『RDB』、データの高速処理などが求められる場面ではNoSQLを用いることになるでしょう。

まとめ|『RDB』からデータベースのスキルを習得しよう

『RDB』はデータをExcelのような表形式で管理することに特徴があり、データの整理と抽出が効率的に行える仕組みだといえます。単にデータを格納するだけでなく、テーブル同士の紐付けが行われるため、データの一貫性と正確性が担保されています。

ただし、単一のサーバーで運用するシステムであるため、大容量のデータを高速で処理するといったことなどには向いていません。また、テキスト化されていない音声や画像などのデータにも適していないため、NoSQLとうまく使い分けていくことが求められます。

『RDB』はデータベースにおける基本的な考え方なので、構築や運用がしっかりと行えるようにスキルを習得しましょう。

募集職種一覧